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本日解禁!ボージョレ・ヌーヴォーとは?使える豆知識も紹介します

受講生の皆様こんばんは、アクセラワインスクール講師の松平です。本日は2024年11月第3木曜日、ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日です。

今年もこの季節がやってきましたね。ボージョレ・ヌーヴォーといえば、ピーク時よりもはるかに減少したとはいえ、今でも日本人に一番馴染みのある呼称ではないかと思います。
ちなみにボージョレ・ヌーヴォーの輸入量ピークは2004年、そこからずっと減少が続いています。とはいえ、今でもボージョレ・ヌーヴォーの輸入量は圧倒的に日本が1位(2位はアメリカ)、全てのボージョレ・ヌーヴォーの輸出量のうち、半分以上が日本にやってきます。

一時期の勢いがないとはいえ、まだまだ日本が世界1位の輸入量を誇るボージョレ・ヌーヴォーについて理解し、使える豆知識を身につけましょう。
ちなみに、試験にももちろん出題されますし、過去にはワインアドバイザー口頭試問でも出題されたことがあります。もしかしたら論述試験でも出題されるかもしれませんね!

それでは見ていきましょう!

ボージョレ・ヌーヴォーとは?

まず、そもそも「ボジョレー」「ボージョレ」どっちなの?と思われる方もいると思いますが、スーパーやコンビニなど一般的には「ボジョレー」表記が多く、業界向けには「ボージョレ」が多いイメージです。ちなみにカタカナ表記としては「ボージョレ」が正しく、ソムリエ協会も「ボージョレ」を使用していますので、このサイトでも「ボージョレ」を使用します。

名前の意味を理解しよう

まず最初に、ボージョレ・ヌーヴォーの名前の意味を理解しましょう。

ボージョレ(場所)・ヌーヴォー(新酒)という意味で、「ボージョレ・ヌーヴォー」とは、「フランス・ブルゴーニュ地方、ボージョレ地区で造られた新酒」という意味になります。ちなみにヌーヴォーの同義語として「プリムール(Vin de Primeur)」があり、同じく「新しい」を意味します。

ここがよく勘違いされやすいのですが、11月第3木曜日は「ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日」ではなく、「フランスワインの新酒の解禁日」ということになります。

フランスをはじめ、ヨーロッパではワイン法によって新酒(その年に取れたブドウによって造られたワイン)解禁日が定められており、国によって解禁日は違いますが、その前に新酒を販売することは法律によって禁止されています。(ちなみに解禁日はフランスが11月第3木曜日、イタリアが10月30日、ドイツは11月1日)

ワイン法では、解禁日だけではなく使用してもよいブドウ品種やワインの色、製法なども細かく規制しています。
試験ではヌーヴォー(プリムール)としての販売が認められているAOCのタイプ(色)がよく問われるので、ここに一覧を載せておきます。

ヴァン・ド・プリムールとして認められているAOC
AOC名 地方 ロゼ
ボージョレ ブルゴーニュ  
ボージョレ+コミューン ブルゴーニュ  
ボージョレ・ヴィラージュ ブルゴーニュ  
コトー・ブルギニヨン ブルゴーニュ    
ブルゴーニュ・アリゴテ ブルゴーニュ    
マコン ブルゴーニュ    
マコン+コミューン ブルゴーニュ    
マコン・ヴィラージュ ブルゴーニュ    
コート・デュ・ローヌ

コート・デュ・ローヌ

  〇 
ヴァントゥー コート・デュ・ローヌ
トゥーレーヌ ヴァル・ド・ロワール  
ガメイのみ
ロゼ・ダンジュー ヴァル・ド・ロワール    
カベルネ・ダンジュー ヴァル・ド・ロワール    
ソミュール ヴァル・ド・ロワール    
アンジュー・ガメイ ヴァル・ド・ロワール  
ガメイのみ
 
ミュスカデ ヴァル・ド・ロワール    
コトー・デュ・リヨネ ブルゴーニュ
ガイヤック 南西
ガメイのみ
 
ラングドック ラングドック・ルーション  
コート・デュ・ルーション ラングドック・ルーション

いかがでしょうか?
以外とたくさんの産地のヌーヴォーがあるんだなって思われましたか?日本ではボージョレ・ヌーヴォーだけが有名で、他のフランスワイン産地のヌーヴォーはあまり見かけません。

ちなみに日本だと主に「ボージョレ・ヌーヴォー」と「ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー」の2種類が売られていますが、「ヴィラージュ」は「通常のボージョレよりも厳しい規定をクリアした優れたワイン」ということになります。

※ボージョレ・ヴィラージュ
ボージョレを構成する96ヶ村のうち、ソーヌ=エ=ロワール県の8か村とローヌ県の38か村はボージョレ・ヴィラージュのAOCを名乗ることができる。葡萄の収穫量やアルコール度数などが、普通のボジョレーより厳しい。ヌーヴォーにもこの規定が適用される。

使用されているブドウ品種

ボージョレ・ヌーヴォーで使用されているブドウ品種は「ガメイ」という品種が使われています。他の産地でもガメイのみが許可されていることからもお分かりの通り、ガメイという品種は他の品種よりも早熟のため、早く収穫しても美味しくできのでヌーヴォー向きの品種といえます。
ガメイはイチゴやフランボワーズなどの赤いベリー系の香りが特徴で、フレッシュでフルーティー、とても飲みやすいチャーミングなワインが生まれるブドウ品種です。

生産可能色

上の表を見ていただくとお分かりの通り、「ボージョレ・ヌーヴォー」として販売できるのは「赤とロゼ」のみとなり、白ワインは認めれておりません。つまり、「白のボージョレ・ヌーヴォー」は存在しないことになります。(ちなみに、ヌーヴォーではない通常のボージョレ・ワインであれば白ワインも認められています。※白ワインの生産は1%程度)
スーパーやコンビニとかでよく白のヌーヴォーを見かけると思いますが、それはボージョレ・ヌーヴォーではなく、違う産地のヌーヴォーということになります。日本では主にボージョレ地区のすぐ上にある産地「マコネ地区」の「マコン・ヌーヴォー(またはマコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー)」が多いようです。

醸造方法

ボージョレ・ワインの特徴として特殊な醸造方法が挙げられます。
それが『マセラシオン・カルボニック法』通称MC法と呼ばれる醸造方法です。

マセラシオン・カルボニック(炭酸ガス浸漬法)

マセラシオンカルボニックとは、縦型の大きなステンレスタンクに収穫した黒ブドウを破砕せずにそのままいっぱいに詰め、二酸化炭素(炭酸ガス)を充満させた状態で数日置く方法です。この間にブドウは果皮の細胞内で酵素反応が起こり、アントシアニン色素が抽出されやすい状態になります。

この方法を使うことで短期間に色素を多く抽出することができ、色の濃さのわりにタンニン(渋味)が少ないフレッシュでフルーティーな赤ワインが造れます。

ヌーヴォーのように解禁日が決まっていて早く造らなくてはならない場合にもピッタリの醸造法ですね。
イタリアの新酒(ヴィーノ・ノヴェッロ)でも、この方法で造ったワインを40%以上含まなくてはならないという規定があります。

優れたボージョレ・ワイン『クリュ・ボージョレ』とは?

さて、そんなフレッシュでフルーティー、赤い果実のチャーミングなワインが特徴のボージョレ・ワインですが、ボージョレの魅力はヌーヴォーだけではありません。ボージョレ地区の中でも北部の優れた10村にのみ与えられた呼称『クリュ・ボージョレ』では、ヌーヴォーと同じ産地、同じブドウ品種とは思えないエレガントさ、長期熟成にも耐えうる力強さのワインが生まれます。
ぜひヌーヴォーと飲み比べてにみてはいかがでしょうか?ガメイ観が変わるかもしれません!?

クリュ・ボージョレ10村

クリュ・ボージョレを名乗ることが許された村は、北から順にサン・タムール、ジュリエナ、シエナ、ムーラン・ナ・ヴァン、フルーリー、シルーブル、モルゴン、レニエ、ブルイイ、コート・ド・ブルイイの10村です。※全て赤のみ、品種はガメイ

ガメイに最適な土壌「花崗岩」

なぜ北部に優れた村が固まっているかというと、主に土壌が関係してきます。
南部はジュラ紀の石灰岩や泥灰岩、火山性土壌や片岩などの土壌ですが、ガメイは樹勢が強いため、北部の花崗岩のような水はけが特に優れた土壌で上質なワインが生まれると言われています。

南部はその土壌の多様さから2018年にユネスコの世界ジオパークに登録されています。
一概には言えませんが、ヌーヴォーで使用されているブドウは南部のブドウが多いため、逆にヌーヴォー向きの土壌とも言えます。

 

いかがだったでしょうか?
ボージョレ・ヌーヴォーと一言で言っても、かなり覚えることがたくさんありました。
最後に、日本で一番有名なワイン、ボージョレ・ヌーヴォーの豆知識をご紹介します。

ボージョレ・ヌーヴォーの豆知識

なぜ解禁日が定められているの?

ヌーヴォーは、そもそも当地の農民が収穫を祝ったのが始まりとされる説と、不作時にあるワイン醸造業者が面白半分にワインの即醸法で作った所、果実香あふれるワインに仕上がりたちまち評判になった説があります。最初の解禁日は1951年12月15日で、フランス全土でボージョレーの人気が高まったことに伴い、出荷を急ぐ造り手や商人が増え、発酵が完全に終わっていないワインが出回るようになり、そうした粗悪品の流通を防ぐために解禁日が定められたと言われています。その後1967年に規定が確立され、1985年に現在の11月の第3木曜日に改められました。

ヌーヴォーは高いって本当?

残念ながら一理あります。それもそのはず、ヌーヴォーは上記のように解禁日が定められているため、通常の輸送方法(船便)では解禁日に間に合いません。そこで、ヌーヴォーは通常の船便で1~2か月かけて運ばれるのではなく、航空便で日本に運ばれてきます。
当然船より飛行機のほうが圧倒的に運賃が高いので、その分がワイン代に含まれてしまうので高い、ということは言えると思います。
余談ですが、各航空会社に「ヌーヴォー便」なる便が存在しているらしく、その「ヌーヴォー便」を取り扱ったドラマがあります。
それが深田恭子さん主演の「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部」で、佐々木希さん演じるワインエキスパート資格を持つ航空管制官がなんとか解禁日に間に合わせようと奮闘する回があります。

なぜ日本でボージョレ・ヌーヴォーが人気になったの?

先ほどお伝えした通り、一時期よりだいぶ減ったとはいえボージョレ・ヌーヴォーは日本がダントツの輸入量を誇ります。
ちなみに、最盛期の2004年にはなんと1250万本の輸入量だったと言われています。(2024年度は約200万本見込み)

人気になった理由はいくつかあると思いますが、1つは日本人の気質に合っていたこと、広告代理店の力、そして日付変更線、そして時代背景の4つが考えられます。特に日付変更線により、フランスより8時間早く、世界で日本が最も早く解禁日を迎えられるというのは大きかったのではないでしょうか?最近は減りましたが、よく「11月第3木曜日御前0時に解禁パーティー!」なんかも各地で行われてましたね。

解禁日より前に販売したら捕まるの?

フランスでは法律により禁止されていますが、それはフランスの法律のため、その日より前に日本で販売・消費しても、日本国内で法的に罰せられることはありません。しかし、税関の『特別措置』として事前に通税し店舗に卸されているため、解禁日前に販売するなどが発覚した場合は取引を中止させられる場合もあります。

毎年「過去最高の出来」って言ってるけど本当?

100年に1度、50年に1度など、毎年のように最高級の評価がなされることが秋の風物詩のような感じになってますが、実際に「ボジョレーワイン委員会」が発表したものではありません。
ただ、最近の地球温暖化の影響にもより、早く収穫してもしっかり果実が熟していることが多いので、近年は毎年美味く楽しめてます。

結局ヌーヴォーってどうなの?

「高い」、「美味しくない」など色々言われることが多いヌーヴォーですが、当初の「当地の農民が収穫を祝ったのが始まりとされる説」のとおり、「その年のぶどうの収穫を祝う、新しいワインが出来たことを祝う」、というのが一番の目的です。
それはボージョレに限らず、ヌーヴォー、イタリアのノヴェッロやその他の国でも一緒です。

最近の物価の高騰もあり、確かに高いと感じますが、「今年の出来をあーだこーだ言いながら、毎年馴染みの生産者の新酒を楽しむ」のはヌーヴォーにしかない魅力です。

受講生の皆様もぜひお気に入りの生産者を見つけて、気の合う仲間たちやご家族と一緒に新酒の解禁日をお祝いしてみてはいかがでしょうか?

※ボージョレ・ヌーヴォーについてのクイズを作りました。正解は全てこのページにありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
問題数:10問
全問正解でクリア

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ボージョレ・ヌーヴォーについて

ボージョレ・ヌーヴォーに関するクイズです。ぜひチャレンジしてみてください。
問題数:10問
合格:全問クリア

1 / 10

ヌーヴォーとはどういう意味ですか?

2 / 10

ボージョレ・ヌーヴォーの解禁日は?

3 / 10

ボージョレ・ヌーヴォーで使用されているブドウ品種は?

4 / 10

ボージョレ・ヌーヴォーとして販売出来ないワインのタイプは?

5 / 10

ボージョレ・ヌーヴォーで使用されている醸造法は?

6 / 10

イタリアワインの新酒(ノヴェッロ)の解禁日は?

7 / 10

マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォーの生産可能色は?

8 / 10

クリュ・ボージョレの主な土壌は?

9 / 10

次の中からクリュ・ボージョレではない村は?

10 / 10

次のクリュ・ボージョレの中で一番北にある村は?

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